無職日記

仕事を辞めた。

東京を離れることになり3年勤めた会社を退職した。再就職は急がず しばらく無職の生活を楽しんでみている。ただいま無職40日目。東京での生活も残すところ5日間となった。


無職生活はというと散歩に明け暮れている。目的地を決めるときもあれば あてもなく適当に歩くときもある。疲れたら途中でお茶をしたりお酒を飲んだりするのもたのしみのひとつ。というか もはやそれがしたくて歩いているようなところもある。
あとは実家に帰ったり ひとり旅をしたり 思うままに過ごしている。先日訪れた仙台で食べた人生初めてのづんだ餅が衝撃のおいしさで いまだに余韻に浸っている。そして残すところ5日となった今 風邪を引いて寝込んでいる。私らしい。

東京で暮らして丸3年。自分の意志で大都会に出てきておきながら 情報量や人の多さに「なんでこんなところに住んでるんや...」と嘆いた時期もあった。けれど そんなふうに感じたからこそ 自分が落ち着ける居場所を見つけようと思い 行きつけのお店ができたりもした。

この喫茶店はそのひとつ。
友人の友人が始められたお店で 偶然にも私の職場の近く。気持ちよく早起きできた日はここで朝ごはんを食べて出勤するのがお決まりの流れ。ゆるゆると他愛もない話をして「行ってらっしゃーい」と送り出してもらう。ただそれだけで今日も頑張ろうと思えた。よく居合わせる常連のマダムがいて その方とお話することも多かった。訪れる曜日も時間帯もばらばらなのに 不思議といつもタイミングが重なった。

疲れ果ててなーんにもしたくないときはここ。
外観と店名に惹かれ 窓から中を覗くと"カウンターのみ" "おひとりさまが多い"という ひとり飲みにうってつけの条件が揃っていて吸い込まれてしまった。店主さんはほどよくほっといてくれて ほどよく話しかけてくれる。時にはさらっとおひとりさま同士を繋げてくれて会話が生まれることもある。その距離感が絶妙で心地がいい。親しい友人と話すのもいいけれど お店の方やお客さんとその場限りで交わす会話にしかない良さもある。
このお店で〆に食べるパスタがとてもおいしい。あれやこれやと食べたくなるけれど 最後にこれを食べるために胃袋にスペースをあけておく。あぁ、気を抜くとすぐに食べ物の話になってしまう。
3年経ってようやく東京の楽しみ方がわかり ひとりで過ごすことも上手になり住み心地がよくなってきた。自分の生活圏内にふらっと寄れるお店ができただけで生活が楽しく 豊かになった。最後の数ヶ月で立て続けに友達が増えたりもして 名残惜しい気持ちもあるけれど 飽き性の私には3年くらいがちょうどいい。新しい土地でも自分の居場所を見つけて楽しく暮らしたい。

先日 東京に住む学生時代からの友人と最後のお散歩をした。引っ越しを考えていたタイミングで彼女が住むアパートの1階に空きが出たことが上京の後押しとなった。彼女がいなければ私は東京に住んでいなかったかもしれないと思うと感慨深い。そんな友人が撮ってくれた1枚。さようなら、東京。

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